コラム 2025.05.29

高齢者の転倒が招く“その後”とは? 予防のカギは3つの要因にあった!

「母の転倒が増えた?」「また父が転んだらしい…」高齢のご両親の転倒、最近多いと感じていませんか? 実は、高齢者の転倒には明確な原因があり、放置すると深刻な事態を招きます。転倒による怪我かや病気になることも「ちょっと転んだだけ」では済まされない”その後”が待っているのです。 ここでは「高齢者はなぜ転倒しやすいのか」を解明し、転倒した場合の対応、今すぐできる予防策について専門的な視点からお伝えします。大切なご家族を守るために、ご参考にしてください。

◎高齢者の転倒は怖い、予防が大切!

高齢者の転倒はなぜ怖いのでしょうか? 転倒が怖いという理由があるのです。 それは、高齢者の転倒は生活へ悪影響を及ぼすだけでなく、場合によっては体調不良、病気の誘発に繋がります。 だから、転倒に対する予防が非常に大切です。

◎高齢者が転倒するとどうなるのか…
転倒予防の必要性、重要性

65歳以上の高齢者で過去1年間に転倒したことがあるという人は、「約4人に1人」、また介護が必要になった理由として、「1位:脳血管疾患、2位:認知症、3位:骨折・転倒」、という調査結果があります。

この結果から、転倒する高齢者が多いこと、そしてそこから介護に繋がる可能性があることがわかります。

転倒についてもう少し詳しく見てみましょう。転倒するとそのうち、

●約50~70%が…怪我
●約10%が…骨折
●約25%が…大腿骨頸部・転子部骨折

に繋がると言われています。

これらのことから入院となった場合、体力の低下から体調不良、病気が誘発されてしまうこと、更にはせん妄、廃用症候群、認知機能の低下などに繋がってしまうこともあります。 転倒がその入り口になってしまうかもしれないということを考えると、転倒を予防する重要性がよくわかります。

◎転倒を予防するために知っておきたいこと…3つの要因

転倒はなぜ起こるのでしょうか。

転倒の原因や危険因子は様々でそれぞれが複雑に関係していますが、まずは3つの要因を知ることが大切です。

【転倒の危険因子】

❶内的要因…例:下肢筋力が低下している
❷外的要因…例:滑りやすい床を靴下で移動
❸行動要因…例:慌ててトイレに行こうとした

これらの因子が多いほど、転倒リスクは高くなります。
例:下肢筋力が低下している人が→滑りやすい床で靴下のまま→慌ててトイレに行こうとしたら→転倒した

転倒が起こる要因を知ることで、対策に繋げる

❶→例:運動により筋力、身体機能の改善を目指す
❷→例:カーペットなど滑りにくい床にする、室内履きを使用する
❸→例:慌てて行動しない、させないようにする、しなくてよい状態にする

転倒は危険因子の数と関連しているため、ひとつでも減らすことは転倒の予防に繋がります。 すべての要因を改善することは難しくても、そのうちの一部でも改善できれば予防に繋がると考えると、まずは出来そうなことから対策として始めてみることができるのではないでしょうか。

◎高齢者の転倒は怖い、予防が大切!

転倒から骨折し入院、体力の低下から病気に…あるいはその後の生活において転倒の恐怖から活動が制限されることでとなり、生活機能障害を招くことに… 高齢者の転倒が怖い理由は、転倒を入り口にその後の生活を大きく左右してしまう可能性があることにあります。 だからこそ、高齢者の転倒の要因を知り、予防することが大切なのです。