ACEコラムColumn

第2回 ボッチャ選手 木村朱里さん(後編)

スポーツは一人ではできない。

ボッチャのPR活動は、まだ十分ではないと感じています。

 

ボッチャは、自力で投球できない選手には、アシスタントによるサポートが認められています。しかし、そのアシスタントがなかなか見つからずに苦労する選手が多いそうです。

ACEコラム第2回の後編は、そうしたボッチャの現状や、木村選手の東京2020パラリンピック競技大会出場に向けた取り組みについて伺いました。

 

ボッチャをもっと広めたい

白坂:BC3(脳原性疾患、非脳原性疾患が対象。勾配具の使用とアシスタントによるサポートが認められている)のクラスでは、“ランプ”と呼ばれる投球用の道具を使うとき、サポートするアシスタントの人はボールの状況を見てはいけないんですよね?

 

木村:見てはいけないだけでなく、選手に指示したり、話しかけてもいけません。アシスタントは選手の指示通りに動くだけです。指示を早く伝えられれば時間短縮できますが、自分の持ち時間は決まっているので、伝えるのに時間がかかる人は不利ですよね。

アシスタントをしてくれる人はなかなか見つからなくて、ほとんどの方が家族に頼んでいます。だからよく喧嘩になっていますよ(笑)。

 

白坂: 2016年のリオのパラリンピックで日本チームが銀メダルを獲得してボッチャに注目が集まりましたが、もっと広まれば、サポートしたいという人も増えてくるでしょうね。

 

木村:メダルを獲ったことで障害者の間には広まったと思いますが、まだまだPR活動は必要だと感じています。やはり、一人でスポーツを続けていくのには限界があるので、サポートしてくれる人がいるととても助かります。

 

白坂:どんなスポーツもそうですよね。試合する相手が必要なこと自体、一人ではできないということですから、スポーツは、支えてくれる人がいて初めて成り立つものだと思います。

2020年のパラリンピックに向けて、特に取り組まれていることはありますか?

 

木村:私がいるクラスBC4(非脳原性疾患が対象。勾配具の使用は認められていない)は、競技人口が一番少ない上に、女性選手がほとんどいません。それで、「ちょっと頑張れば、すぐ強化選手になれるよ」と言われて始めたのですが、パラリンピック選考の壁がなかなか越えられなくて。マイナースポーツなので、コーチも簡単には見つかりません。

 

白坂:先日、たまたま『サーフィンを教える』というテレビ番組を観たのですが、一人一人の体の構造に合わせたロジカルな指導をしたら、みんな見る見るうちに良いフォームになって上達していました。やはり、コーチの元で良いフォームを身につけるのは上達の近道ですね。

 

木村:フォームと同じように車椅子も重要で、私のは今、競技用に幅を狭くしたりいろいろ加工している最中です。ボッチャでは、2.5m×1mのスローイングボックス内でしか動けないので、車椅子が小さければ小さいほど動きやすい。幅があると体が揺れてしまうので、体にフィットしたものの方がいいんです。

 

スポーツが生む効果

白坂:KEEP UPは“エイジングケア・エクササイズ(ACE)”という事業を通して、高齢者の方たちの体力・健康づくりをお手伝いしています。その中でボッチャを取り入れているのですが、高齢者の方たちに良い影響はあると思われますか?

 

木村:一投一投戦略を考えて投げますし、投球はそのときの体調に左右されるので、体力づくりの励み、目安になるのではないでしょうか。スポーツによって作られた健康な体は、楽しく生きることにもつながると思うので、どんどんボッチャを取り入れてもらいたいです。

 

白坂:運動を始めた方たちは、たいてい最初は全然動けないのですが、少しずつ体力がついてくると、怖がっていたマシンを使ったトレーニングにも取り組むようになります。体と意識の変化が積み重なって「もっと体調に気をつけよう」と思うようになり、積極的になっていくんだと思います。

 

木村:一つできるようになると、もっとできるようになりたいと思いますよね。ボッチャは戦略が重要なスポーツですが、それよりもまずボールを真っ直ぐ狙い通りのところに投げられなければお話になりません。許容範囲の誤差は、ボール一個分と言われています。私は握力がないので腕を振って投げるため、どうしても手首を使ってしまうことがあって、常に同じように真っ直ぐ投げるのが本当に難しいんです。

私も自分に合ったトレーニング方法を見つけて、体力アップとメンタル強化に取り組みたいと思います。

 

白坂:ぜひウエイトトレーニングを取り入れて、東京2020パラリンピック競技大会出場目指して頑張ってください。応援に行きます!

今日はどうもありがとうございました。

 

 

<木村朱里選手プロフィール>

1983年生まれ。幼少期に難病を発症し、車椅子での生活を余儀なくされる。

ボッチャ歴は1年。仕事の傍ら東京2020パラリンピック出場を目指し、日々練習とトレーニングに励んでいる。

 

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