コラム 2025.06.06

家庭内での転倒リスクと対策

ご家族に高齢者はいらっしゃいませんか?
実は高齢者の転倒事故は自宅で発生しており、骨折や寝たきりのきっかけになることも。
階段だけでなく、敷居のわずかな段差やカーペットの端っこなど、思わぬところに転倒リスクが潜んでいます。


高齢者にとって、転倒は人生を大きく変える出来事になりかねません。
今回は、高齢者の転倒を防ぐための家庭内チェックポイントと、すぐに実践できる対策をご紹介します。大切なご家族を守るために、今できることから始めてみませんか?

転倒予防は家庭内から!

転倒は外出時や慣れない場所で起きるもの…ではありません。

転倒を予防するためにはまずは身近なところから、毎日の生活の場である家庭内で起きる転倒の原因を知り、対策することが大切です。


家庭内で多発!高齢者の転倒事故

怪我に至る転倒のうち全体の72%が自宅を占めており、特に居間での転倒が最も多いという調査結果があります。

住み慣れた日常生活を送る家庭内での転倒については、考えてみたことがない人も多いかと思います。しかし、自分の生活環境において勝手をよく知り当たり前のように生活されているということは、そこに潜んでいるかもしれない転倒リスクに注意を払っていないということかもしれません。

転倒のリスクが高い高齢者にとって、住宅内の環境に転倒に繋がる要因が潜んでいることに気付かずに生活している、ということは大きな問題と考えられます。 まずは、家庭内での転倒リスクについての認識を持つことが大切です。

転倒リスクと環境整備の大切さを知る

転倒の原因として考えられることとしては、内的要因(主に身体的要因)と外的要因(主に環境要因)がありますが、ここでは外的要因である家庭内の環境要因における転倒について考えてみます。家庭内の環境の整備は非常に大切です。

<室内にあるリスクと対策例>

・1~2cmの小さな段差…スロープをつける。

・コードの配線…動線を避ける、壁を這わせる。

・めくれやすいカーペット…滑り止めを敷く。

・滑りやすい床材…靴下で歩かない、滑りにくい床材にする。

…等々、見渡してみると数多く見つかることがあるかと思います。

見慣れている場所、意識しづらい箇所ほど見落としがちですが、ひとつひとつ確認して対策することが、転倒の防止に繋がります。

また環境の整備は再転倒を防ぐ場合にも、必要に応じて行うことが重要です。

~家庭内で転倒してしまった80代Aさんの場合~

室内でつまづき転倒し骨折。入院され退院後は移動に車いす介助が必要な状態で施設に入居されました。物が多く転倒リスクが高かった自宅に比べ、施設の居室では動線を防ぐような物が置かれることがなく、まずは環境要因としての安全は確保されました。

環境の整備は、その人に合ったものであることも重要です。

車いすで退院されたAさんですが、室内では転倒前のように自分で歩いて移動したいと希望され歩行のためのリハビリを開始されました。さらに、Aさんの状態に合わせた環境整備として、室内に手すりを設置します。

その後リハビリにより少しずつ歩けるようになってきたAさんは、この手すりを使うことで転倒がほぼなくなり、室内では伝い歩きでご自分で移動することができるようになりました。

転倒予防は家庭内から!

骨折発生原因の90%以上が転倒によるものと言われています。

つまり、「転倒を防ぐことは骨折を防ぐこと」なのです。

実は多く発生している家庭内の転倒事故。まずはリスクが潜んでいる可能性について認識し、環境の整備をすることで、転倒を予防しましょう!