「通院がつらい」「外出が大きな負担」と感じたら、ご自宅で受けられる訪問サービスを探すタイミングです。
病院や施設に通えなくても、理学療法士による専門的なリハビリを受けることはできます。本記事では、通院困難になったご家族のために、訪問診療・訪問看護・訪問リハビリの違いを解説し、最適なサービスを探す具体的なステップと、集中的なケアが可能な自費リハビリの選択肢についてお伝えします。
○なぜ「通院の困難さ」が大きな課題になるのか
病院や施設に通うことは、診察や治療を受けるだけでなく、「外に出る」「人と関わる」という点でとても大切な役割を持っています。外出自体が心身を刺激し、筋力や意欲を保つ効果があるからです。
しかし通院が難しくなると、受診を先延ばしにしたり、リハビリの機会を逃したりすることが増えてきます。その結果、
- ・体力や筋力の低下が加速する
- ・病気の早期発見が遅れる
- ・家に閉じこもりがちになり、気分が落ち込みやすくなる
といった悪循環に陥りやすくなります。
ご家族が「最近通院に時間がかかりすぎる」「疲れて一日寝ていることが多い」と気づいたら、早めに訪問サービスの導入を検討することが大切です。
○訪問サービスとは?
訪問サービスには大きく分けて次のような種類があります。
1.訪問診療
医師が自宅に訪れて診察を行う仕組みです。慢性的な持病がある方や定期的なチェックが必要な方に適しています。
2.訪問看護
看護師がご自宅に伺い、体調管理や服薬確認、医療処置などを行います。病気の安定だけでなく、日常生活の安心感にもつながります。
3.訪問リハビリ
理学療法士などリハビリ専門職がご自宅を訪問し、歩行や動作の練習、筋力維持の運動、生活環境の工夫を一緒に行います。「通院が困難だからリハビリをあきらめる」のではなく、自宅という最も生活に近い場でリハビリが継続できます。
これらは介護保険や医療保険で利用できる場合もあり、自己負担を抑えながら続けられる点も大きなメリットです。
○訪問リハビリの具体的な効果
訪問リハビリでは、ご本人の体力や生活の様子に合わせたプログラムを提供します。たとえば、
- ・ベッドからの起き上がりや椅子への移動がスムーズになるようサポート
- ・実際の生活動線を確認し、転倒しにくい環境づくりを提案
- ・家の中でできる簡単な運動を一緒に実践し、継続方法を指導
- ・介護するご家族にとって安全な介助方法を助言
つまり、病院での画一的な訓練ではなく、「その人の生活」に直結した支援ができるのが訪問リハビリの強みです。
○介護家族が訪問サービスを考えるタイミング
次のような変化があれば、訪問サービスを検討する合図です。
- ・外出すると極端に疲れてしまい、翌日まで寝込む
- ・病院に行くための送迎や付き添いが家族にとって大きな負担になっている
- ・歩行が不安定で、転倒のリスクが高い
- ・リハビリの必要性は分かっているが、通院を嫌がるようになった
これらのサインは「通院が困難になってきた」証拠です。訪問サービスを導入することで、ご本人だけでなく、介護家族の安心も守ることにつながります。
◎通院が難しくなったら選択肢を広げよう
介護家族にとって「通院の付き添い」は日常的な大きな負担です。だからこそ、無理を重ねて続けるよりも、早めに訪問サービスを取り入れることが、本人にも家族にも優しい選択となります。
「通院が困難になってきた」と感じたら、まずはかかりつけ医や地域包括支援センターに相談し、訪問診療・訪問看護・訪問リハビリといった選択肢を確認してみましょう。
リハビリは病院でしかできないものではありません。むしろ生活の場で行うリハビリこそが、高齢者の自立を支え、家族の介護負担を減らす最良の方法です。
元気な時間を一日でも長く、ご本人も家族も安心して過ごせるように。通院が困難になったときこそ、訪問サービスを活用することが未来への大切な一歩になるのです。