Column コラム

退院後の生活に不安を感じていると感じたら…家庭でできるリハビリの工夫

「退院後、リハビリの継続が必要だけど、費用や期間の不安が大きい」と感じていませんか。理学療法士が、家庭でできる具体的なリハビリ方法と、保険内リハビリの回数制限を超えて集中的に受けられる自費リハビリの活用法を解説します。リハビリ空白期間を作らず、自宅で安心して回復を目指すための具体的な道筋をお伝えします。

○退院後にリハビリを続ける意味

入院中は毎日のように理学療法士と一緒に体を動かしていても、退院後はその頻度がぐっと減ってしまいます。リハビリの空白期間が生じると、せっかく回復した筋力や動作能力が短期間で低下してしまうことがあります。

退院後の生活では次のような課題が生じやすいのです。

  • 体力や筋力の低下:入院中の安静や退院後の活動不足が影響
  • 転倒リスクの増加:動作がぎこちなくなる、バランスが崩れやすくなる
  • 自信の喪失:「一人で動くのが怖い」という心理的要因
  • 介護負担の増加:ご家族が支えなければならない場面が増える

だからこそ、退院後も「リハビリを継続する」ことが生活の安定に直結します

○家庭でできるリハビリの工夫

理学療法士が推奨する家庭でのリハビリは、特別な機器を使うものばかりではありません。日常生活そのものを「リハビリの場」として活用することができます。

1. 基本動作の繰り返し

  • ・椅子から立ち上がる、座る動作を意識的に繰り返す
  • ・ベッドからの起き上がりを自分で行う練習をする

  →これらは足腰や体幹の筋力維持に直結します。

2. 家事を取り入れたリハビリ

  • ・食卓を拭く、洗濯物をたたむ、軽い掃除をする

  → 上肢や体幹の動きが自然に促され、生活の自立にもつながります。

3. 歩行の継続

  • ・室内での移動を手押し車や杖と併用して安全に実施
  • ・可能であれば家の周囲を数分歩く習慣を持つ

  →歩行は最も効果的な全身運動であり、心肺機能にも良い影響を与えます。

4.  呼吸や姿勢のリハビリ

  • ・深呼吸を意識することで肺機能を維持
  • ・姿勢を整えることで肩や腰の負担を減らす

  →呼吸器や整形外科疾患後の方に特に大切です。

○ご家族がサポートできること

介護家族にとって、「全部を支える」必要はありません。むしろ大切なのは、本人ができることを奪わずに見守ることです。

  • ・動作に時間がかかっても手を出しすぎない
  • ・転倒しやすい場所(段差・滑りやすい床)を整備する
  • ・本人が「できた」と感じられるよう声をかける

これらは身体的な回復だけでなく、心理的な自立を支える上でも重要です。

訪問リハビリや自費リハビリの活用

家庭でのリハビリに加えて、専門職によるサポートを継続する方法もあります。

  • ・訪問リハビリ(介護保険内):理学療法士が自宅を訪問し、生活動作を中心に支援。
  • ・自費リハビリ:保険ではカバーできない時間や内容を希望に合わせて受けられる。
  • 介護保険や医療保険の回数・期間制限に縛られず、時間や内容を自由に設定できます。特に退院直後に集中してリハビリをしたい場合や、保険でのリハビリが終了した後の維持期の活用にも適しています。費用は全額自己負担となり1時間あたり10,000円前後が相場となります。)

「退院後すぐに介護が必要になるのでは」と焦る方もいますが、こうしたサービスを活用することで、安心して在宅生活を続けられる可能性が広がります。

○退院後のリハビリ、誰に相談すべき?

退院後のリハビリの継続について不安を感じたら、リハビリを担当する理学療法士や以下の専門職に相談してみましょう。

・入院中:病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)や地域連携室・患者支援センター等に相談します。退院後の生活や介護サービスの利用について、リハビリの専門家である理学療法士などと連携して相談に乗ってくれます。

・退院後:介護保険利用の場合はケアマネージャー(介護保険利用の場合)または地域包括支援センターが主な窓口になります。保険内サービスだけでなく自費リハビリの情報提供を受けられる場合もあります

◎退院後もリハビリの継続を

退院後の生活は、ご本人もご家族も不安を抱えやすい時期です。しかし、リハビリを継続することで体の機能は守られ、不安を和らげることができます。

家庭でできる簡単なリハビリを取り入れつつ、必要に応じて訪問サービスや自費リハビリを組み合わせれば、「退院後の生活の不安」は「できることを増やす喜び」へと変わります。

理学療法士は、その道のりを支える専門職です。退院後の生活に迷ったら、ぜひ専門家に相談しながら、一歩ずつ安心できる暮らしを築いていきましょう。