コラム 2025.12.12

理学療法士とは?国家資格を持つリハビリテーションの専門家

「理学療法士」という言葉を聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?多くの方は「病院やクリニックでリハビリを担当する人」と答えるかもしれません。確かにそれは正しいのですが、実は理学療法士の役割はもっと幅広く、私たちの日常生活に深く関わっています。

この記事では、理学療法士とは何か、どんな資格を持ち、どのような場面で活躍しているのかをわかりやすく解説します。

○理学療法士とは国家資格を持つ専門職

理学療法士(Physical Therapist: PT)は、国家資格を持つ医療専門職です。理学療法士になるには、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した養成施設(大学または専門学校)で3年以上学び、国家試験に合格する必要があります。

国家資格であるということは、一定の知識と技術を国が保証しているということ。つまり、理学療法士は医師や看護師と同様に、法律で認められた医療の専門家なのです。

以下の記事でも解説しているように、理学療法士は国家資格を持つからこそ、医療機関以外でもリハビリテーションサービスを提供することができます。

○理学療法士ができること

理学療法士の専門性は、「動作」と「運動」にあります。具体的には以下のようなことを行います。

  1. 評価と分析
  • ・姿勢や歩行の観察
  • ・筋力や関節の動きの測定
  • ・痛みや生活上の困りごとの聞き取り
  • ・身体機能の総合的な評価
  1. リハビリテーションの実施
  • ・運動療法(筋力トレーニング、ストレッチ、バランス練習など)
  • ・物理療法(温熱、電気刺激、超音波など)
  • ・日常生活動作の練習(起き上がり、歩行、階段昇降など)
  • ・動作指導や姿勢改善のアドバイス
  1. 予防と健康増進
  • ・転倒予防
  • ・腰痛・肩こりなどの予防
  • ・スポーツ障害の予防
  • ・健康寿命を延ばすための運動指導

○CURE(治療)だけでなくCARE(ケア)の専門家

一般的に、リハビリテーションは「病気やケガを治すためのもの」というイメージが強いかもしれません。確かに、骨折後や脳卒中後など、CURE(治療)を目的としたリハビリは理学療法士の重要な役割です。

しかし、理学療法士の仕事はそれだけではありません。CARE(ケア)の視点も非常に重要です。

たとえば:

  • ・慢性的な痛みとの付き合い方をサポート
  • ・加齢による身体機能の低下を予防・緩和
  • ・障害があっても自分らしく生活できるようサポート
  • ・介護が必要な方の生活の質を向上させる

つまり、「完全に治す」ことだけが目標ではなく、「今ある身体でより良く生きる」ことを支えるのも理学療法士の大切な役割なのです。

理学療法士が活躍する場所

理学療法士は、病院やクリニックだけでなく、さまざまな場所で活躍しています。

  • 医療機関:病院、クリニック、診療所
  • 介護施設:老人保健施設、デイケア、訪問リハビリ
  • 地域:地域包括支援センター、健康教室
  • スポーツ分野:スポーツチーム、フィットネスクラブ
  • 教育・研究機関:大学、専門学校
  • 自費リハビリ事業者:保険外でのリハビリサービス提供

近年は、保険診療の枠にとらわれない自費リハビリの分野でも理学療法士が活躍しています。これについては、下記のコラムで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

◎「より良く生きる」を支える理学療法士

理学療法士は、国家資格を持つ「動作と運動の専門家」です。病院でのリハビリだけでなく、予防、健康増進、生活の質の向上など、幅広い場面で私たちの健康を支えています。

CURE(治療)だけでなくCARE(ケア)の視点を持ち、一人ひとりの「より良く生きる」を支える。それが理学療法士の役割です。

次回からのコラムでは、「理学療法士ができること」をもっと具体的に紹介していきます。お楽しみに!